革の種類 〔動物のちがいによる分類〕
天然皮革の材料となるものは、「原皮(げんぴ)」または「原料皮(げんりょうひ)」と呼ばれ、牛、羊などの哺乳類、
ワニなどの爬虫類、鳥類などの皮が使われています。ここでは、おもなものをご紹介しましょう。
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牛皮
革製品の大部分は牛皮が使用されています。日本で使用されている牛皮のおおよそ半分が輸入されています。牛皮の性質は、大判で厚く、繊維組織が比較的均一で充実していて強度や耐久性があり、以下のような種類に分けられます。
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成牛皮 去勢牛(ステア)
生後数か月後に去勢したオスで、生後2年以上を経たものの皮。厚みが比較的平均しています。
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雄牛(ブル)
去勢していないオスの成牛の皮。厚手になり、繊維組織の粗さが目立ちます。
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雌牛(カウ)
メスの成牛の皮。ステア、ブルほどの厚みはありません。
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中牛皮(キップ)
生後半年から1年余りまでのもので、カーフより厚手になり、強度も増します。
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子牛皮(力一フ)
生後6カ月以内のもので牛皮中のトップクラスです。小判薄手で、キメが細かいのが特長です。
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地生(ジナマ)
国内産牛原皮。生皮のままで取引されたところから、地生と呼ばれるようになりました。一般に牛の飼養管理状態がよいので、輸入原皮と比べて銀面の損傷が少なく、焼き印がないのが特長です。
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羊皮
羊皮は種類が多く、皮の性状も多様ですが、ヘアシープとウールシープに大別できます。また、小羊の皮はラムスキンといいます。
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シープスキン
ヘアシープは、強度的に優れているので、ゴルフ手袋や衣類などに用いられます。
ウールシープは、軽くて柔軟ですが、繊維の絡み合いが少なく、強度は弱めです。 -
ラムスキン
小羊の皮で、毛皮原料としても良質です。
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山羊皮(ゴートスキン)
羊皮より充実した繊維組織をもち、強くやや硬い。銀面(表面)は特有な凹凸をもち耐摩耗性に優れています。
キッドスキンは子山羊皮で、独特の銀面模様をもち、高級靴の甲革、手袋などに用いられます。
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豚皮(ピッグスキン)
全量を国内で自給できる唯一の原皮。表面に独特な毛穴の模様が見られます。靴、鞄、靴裏革、衣類などに用いられます。
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馬皮
バッグ、小物、靴甲革および靴裏革などに用いられます。臀(でん)部の網様層は緻密で美しくコードバンと呼ばれる光沢のある硬い層が得られ、ランドセル、ベルト、靴、小物などに用いられます。
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鹿皮
軽くて、非常に柔軟なのが特長です。手袋、小物などに用いられます。
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カンガルー皮
比較的薄く、強度は強いですがやや傷が多い。靴や小物などに用いられます。
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ダチョウ(オーストリッチ)
羽を抜いた後が丸く突起し、皮の表面に独特な模様があるため珍重されます。鞄、小物、ベルトなどに用いられます。
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爬虫類(ワニなど)
特徴ある銀面模様が珍重されます。鞄、ベルトなどに用いられます。