ABOUT LEATHER

革ができるまで

バッグやシューズなどで使われている“革(天然皮革)“は、動物などの“皮“からつくられます。つまり、“皮“が「革」になることによってはじめて、やわらかくて腐らない、私たちにとって身近な素材になるのです。ここでは、“皮“が“革“になるまでの流れをご紹介します。

STEP 01原皮(げんぴ)

原皮は食肉の副産物として出てくるものです。腐敗をふせぐために塩などで保存処理がされます。
※動物の違いによる分類参照

STEP 02水漬け・背割り(みずづけ・せわり)

ドラムと呼ばれる機械に入れ、汚れを洗い流しながら生皮の状態にもどしていきます。サイズが大きい場合には作業をしやすくするために半分にすることも(背割り)あります。

STEP 03裏打ち(うらうち)

皮の裏面に付いている不要なところを取り除いていきます。

STEP 04脱毛・石灰漬け(だつもう・せっかいづけ)

皮に付いている毛などを取り除きながら柔らかくしていきます。

STEP 05分割(ぶんかつ)

オーダーに応じた厚みに皮を分割していきます。

STEP 06再石灰漬け(さいせっかいづけ)

石灰の働きによって、皮をより柔らかくしていきます。

STEP 07脱灰・酵解(だっかい・こうかい)

皮から石灰を取り除き、表面をなめらかにしていきます。

STEP 08浸酸(しんさん)

鞣し(なめし)工程をスムーズに進めるために、皮を酸に浸けます。

STEP 09鞣し(なめし)

皮を靴や鞄などに利用できる素材へ再生させる重要な工程が“鞣し”です。この工程によって、皮から革へ変わります。
※「鞣し(なめし)」を知ろう参照

STEP 10水絞り・選別(みずしぼり・せんべつ)

革の余分な水分を絞り出したのち、品質チェックをします。

STEP 11シェービング

オーダーに応じた厚みに革を削っていきます。

STEP 12再鞣し(さいなめし)

オーダーに応じた特性や天然皮革らしい風合いをつくりだしていきます。

STEP 13染色・加脂(せんしょく・かし)

革を色染めし、天然皮革らしい風合いを高めていきます。

STEP 14セッティング(伸ばし)

革を伸ばしながら適度に水分を絞り出していきます。

STEP 15乾燥(かんそう)

乾燥させます。これによって革の状態が安定します。

STEP 16味取り(あじとり)

次の作業をしやすくするために、革に適切な水分を与えます。

STEP 17ステーキング(バイブレーション)

しっかりと揉みほぐして、より柔らかくします。

STEP 18ネット張り乾燥(ねっとばりかんそう)

仕上げをしやすいように、カタチを整え乾燥させていきます。

STEP 19銀むき(ぎんむき)

オーダーによっては、表面を軽く削る場合もあります。

STEP 20塗装(とそう)

オーダーに応じた色に表面を仕上げていきます。
※革のタイプによる分類および仕上げ方による分類参照

STEP 21艶出し(つやだし)

革に上品な艶感を加えていきます。

STEP 22アイロン・型押し(かたおし)

革の美しさをより引き立つようにしていきます。オーダーによっては、模様を付ける加工をします。

STEP 23計量(けいりょう)

できあがった革の大きさを計ります。

STEP 24検査・出荷(けんさ・しゅっか)

最終チェックを行い、出荷します。

STEP 25天然皮革を使った靴・衣類・鞄などへ

「鞣し(なめし)」を知ろう

「鞣(なめ)す」とは?

「皮を鞣す」また「鞣し革」の「鞣す」とは、どんな意味なのでしょうか。動物の皮は、柔軟性に富み非常に丈夫ですが、そのまま使用するとすぐに腐敗したり、乾燥すると板のように硬くなり柔軟性がなくなったりします。
生物(なまもの)である動物の皮を樹液や種々の薬品で処理することを「鞣し」といいます。鞣していない状態を「皮」と呼び、鞣したものを「革」と呼んで区別しています。

昔の「鞣し」といまの「鞣し」

布を知らなかった古代人の衣服は、動物の皮を利用していました。そのため、皮が腐敗したり、硬くなったりする欠点を取り除くために、動物の脂や草木の汁に漬けたり、煙でいぶしたり、いろいろと工夫していました。その中で最も発展した方法は、草木の汁を使う方法で現在「タンニン鞣し」として行われている方法です。今日残されている最古の革製品である古代エジプト時代のものから裏付けされています。
タンニン鞣しは、草木の中に含まれているタンニン(渋)とコラーゲン(たんぱく質)を結合させて鞣す方法ですが、古代には純粋なタンニンを抽出する技術がなかったので⻑い時間かかりました。
その後、化学の進歩により鉱物を用いて鞣す方法が開発され、容易に鞣すことができるようになりました。

「鞣し」の種類

「鞣し」には、革の用途に合わせてさまざまな種類の薬剤が使われます。主流は、鉱物鞣し、有機物鞣しですが、両者を組み合わせた複合鞣しもあります。

鉱物鞣し

鉱物鞣しのひとつに「三価クロム」を使った「クロム鞣し」があります。現在、この方法が皮を鞣す際に最も多く用いられています。
特徴としては、柔軟性があり、伸びが大きく、弾力性をもった革になります。 しかも耐熱性も付与しているため、靴甲革、袋物、服飾用など利用範囲が広い革になるのも大きな特性です。ほかに、鉱物鞣しには、アルミニウム鞣剤、ジルコニウム鞣剤などが使われます。

有機物鞣し

代表的な鞣しに、「植物タンニン鞣し」があります。
現在使われているのは、ワットル(ミモザともいう)、ケブラチョ(ウルシ科の植物)、チェスナット(ブナ科の植物)であり、これらを組み合わせながら鞣しを行っています。
鞣された革は伸縮性が小さく堅牢なので、ケース、鞄、靴底など、立体化する革製品に適しています。有機物鞣しには、植物タンニンのほか、合成タンニン、アルデヒド鞣剤などが使われます。

革の種類

動物の違いによる分類

天然皮革の材料となるものは、「原皮(げんぴ)」または「原料皮(げんりょうひ)」と呼ばれ、牛、羊などの哺乳類、ワニなどの爬虫類、鳥類などの皮が使われています。ここでは、主なものをご紹介しましょう。(イラストをクリック/タップすると説明をご覧いただけます)

革のタイプによる分類

天然皮革をつくる過程で加工をほどこすことで、さまざまな表情や特徴をもった革に仕上がります。
ここでは、タイプの異なる革について、それぞれの特色や用途をお伝えします。(画像をクリック/タップすると説明をご覧いただけます)

仕上げ方による分類

天然皮革をつくる仕上げの方法によって、革の仕上がりは大きく変化します。
素材としての天然皮革の魅力をさらに引き出す仕上げの方法をご紹介します。

素上げ調仕上げ

ほとんど仕上げ剤を使用せず、フェルトバフなどでツヤを出す仕上げ方法です。

アニリン調仕上げ

銀面(表面)のパターンが見透かせるような透明感のある仕上げ方法。少し顔料を配合したセミアニリン仕上げの革も含まれます。

顔料仕上げ

顔料などを使用することにより透明感がやや損なわれますが、銀面(表面)のキズを隠し、均一な着色ができる仕上げ方法です。

グレージング仕上げ

革の銀面(表面)に平滑性と光沢を与えることを目的に、めのう、ガラス、金属のローラーによって強い圧力を加えながら摩擦する仕上げ方法。また、グレージング仕上げの革にしぼ付けを行ったのがボックス仕上げです。

アンティーク仕上げ

不規則なムラ模様などを付けて古代調(ヴィンテージ)の印象を与える色調仕上げ方法。ツートン仕上げやアドバンティック仕上げなどがあります。

エナメル仕上げ

パテント仕上げともいわれ、ウレタン樹脂で仕上げる方法です。

パール・メタリック仕上げ

ラッカーにパールやシルバー、ゴールドなどを混合して、塗装する仕上げ方法です。

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牛皮革製品の大部分は牛皮が使用されています。日本で使用されている牛皮のおおよそ半分が輸入されています。牛皮の性質は、大判で厚く、繊維組織が比較的均一で充実していて強度や耐久性があり、以下のような種類に分けられます。

成牛皮 去勢牛(ステア)生後数か月後に去勢したオスで、生後2年以上を経たものの皮。厚みが比較的平均しています。

雄牛(ブル)去勢していないオスの成牛の皮。厚手になり、繊維組織の粗さが目立ちます。

雌牛(カウ)メスの成牛の皮。ステア、ブルほどの厚みはありません。

中牛皮(キップ)生後半年から1年余りまでのもので、カーフより厚手になり、強度も増します。

子牛皮(力一フ)生後6カ月以内のもので牛皮中のトップクラスです。小判薄手で、キメが細かいのが特長です。

地生(ジナマ)国内産牛原皮。生皮のままで取引されたところから、地生と呼ばれるようになりました。一般に牛の飼養管理状態がよいので、輸入原皮と比べて銀面の損傷が少なく、焼き印がないのが特長です。

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羊皮羊皮は種類が多く、皮の性状も多様ですが、ヘアシープとウールシープに大別できます。また、小羊の皮はラムスキンといいます。

シープスキンヘアシープは、強度的に優れているので、ゴルフ手袋や衣類などに用いられます。ウールシープは、軽くて柔軟ですが、繊維の絡み合いが少なく、強度は弱めです。

ラムスキン小羊の皮で、毛皮原料としても良質です。

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山羊皮(ゴートスキン)羊皮より充実した繊維組織をもち、強くやや硬い。銀面(表面)は特有な凹凸をもち耐摩耗性に優れています。
キッドスキンは子山羊皮で、独特の銀面模様をもち、高級靴の甲革、手袋などに用いられます。

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豚皮(ピッグスキン)全量を国内で自給できる唯一の原皮。表面に独特な毛穴の模様が見られます。靴、鞄、靴裏革、衣類などに用いられます。

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馬皮バッグ、小物、靴甲革および靴裏革などに用いられます。臀(でん)部の網様層は緻密で美しくコードバンと呼ばれる光沢のある硬い層が得られ、ランドセル、ベルト、靴、小物などに用いられます。

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鹿皮軽くて、非常に柔軟なのが特長です。手袋、小物などに用いられます。

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カンガルー皮比較的薄く、強度は強いですがやや傷が多い。靴や小物などに用いられます。

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ダチョウ(オーストリッチ)羽を抜いた後が丸く突起し、皮の表面に独特な模様があるため珍重されます。鞄、小物、ベルトなどに用いられます。

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爬虫類(ワニなど)特徴ある銀面模様が珍重されます。鞄、ベルトなどに用いられます。

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銀付革 天然の革の銀面(表面)を活かしたもので、カゼインおよびラッカー仕上げされるものもあり、美しい銀面と優れた耐久性、快適な使用感を備えた銀付革は紳士靴、婦人靴、鞄、袋物、ベルト、衣類などに用いられます。

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ガラス張り革 乾燥の工程で、革をガラス板(またはホーロー鉄板)に張り付けて乾燥し、銀面をサンドペーパーで削り(バフィング)、合成樹脂を塗装して仕上げたものです。原料はおもに成牛皮。銀面が均一になるので裁断歩留まりは良いが、銀付革にくらべて革本来の風合いが劣ります。靴甲革、鞄などに用いられます。

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スエード革革の肉面をサンドペーパーで毛羽立てて(バフィング)、ベルベット状に起毛させて仕上げた革で、おもに子牛皮や山羊皮などからつくられます。シルキースエードは高級品です。靴甲革、ハンドバッグ、衣類などに用いられます。

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バックスキン革 鹿皮の銀面を除去し、毛羽立てた革。きわめて柔軟であり、スエードと同様の用途に使われるので、スエードと混同して呼ばれることがあります。

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ヌバック革 スエードと異なり、革の銀面をサンドペーパーで毛羽立てた革。スエードと比較すると毛羽が非常に短くビロード状です。高級品は子牛皮を原料としますが、成牛皮やそのほかの動物皮からもつくられます。靴甲革、袋物、衣類などに用いられます。

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エナメル革 パテントレザーともいわれます。本来、革の銀面にボイルアマニ油またはワニスの塗布と乾燥を繰り返し、光沢のある強い被膜をつくって仕上げていましたが、現在は、ウレタンなどの耐摩耗性で、光沢のある合成樹脂仕上げ剤が用いられます。紳士靴、婦人靴の甲革、ハンドバッグなどに用いられます。

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床革 成牛皮のように厚い皮を2層か3層に分割して得られた、銀面をもたない床皮を原料とした革。作業用手袋、スポーツ靴などに用いられます。最近では、ラミネート革として用途が広がってきています。

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型押し革 革の仕上げ塗装面に加熱高圧プレスで型をつけたものです。靴、ハンドバッグ、ケース、衣類などに用いられます。

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ベロア革 成牛皮などの大動物皮の肉面を起毛した毛足のやや長いもの。靴などに用いられます。

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ヌメ革牛皮の植物タンニン鞣し革です。ベルト、鞄、小物やレザークラフトに用いられます。

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防水革・撥水革 製造工程で、フッ素系、シリコン系、油剤系などの薬品を使い、革の吸水防止効果や撥水効果を付与したものです。

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