ABOUT LEATHER
革ができるまで
バッグやシューズなどで使われている“革(天然皮革)“は、動物などの“皮“からつくられます。つまり、“皮“が「革」になることによってはじめて、やわらかくて腐らない、私たちにとって身近な素材になるのです。ここでは、“皮“が“革“になるまでの流れをご紹介します。
「鞣し(なめし)」を知ろう
「鞣(なめ)す」とは?
「皮を鞣す」また「鞣し革」の「鞣す」とは、どんな意味なのでしょうか。動物の皮は、柔軟性に富み非常に丈夫ですが、そのまま使用するとすぐに腐敗したり、乾燥すると板のように硬くなり柔軟性がなくなったりします。
生物(なまもの)である動物の皮を樹液や種々の薬品で処理することを「鞣し」といいます。鞣していない状態を「皮」と呼び、鞣したものを「革」と呼んで区別しています。
昔の「鞣し」といまの「鞣し」
布を知らなかった古代人の衣服は、動物の皮を利用していました。そのため、皮が腐敗したり、硬くなったりする欠点を取り除くために、動物の脂や草木の汁に漬けたり、煙でいぶしたり、いろいろと工夫していました。その中で最も発展した方法は、草木の汁を使う方法で現在「タンニン鞣し」として行われている方法です。今日残されている最古の革製品である古代エジプト時代のものから裏付けされています。
タンニン鞣しは、草木の中に含まれているタンニン(渋)とコラーゲン(たんぱく質)を結合させて鞣す方法ですが、古代には純粋なタンニンを抽出する技術がなかったので⻑い時間かかりました。
その後、化学の進歩により鉱物を用いて鞣す方法が開発され、容易に鞣すことができるようになりました。
「鞣し」の種類
「鞣し」には、革の用途に合わせてさまざまな種類の薬剤が使われます。主流は、鉱物鞣し、有機物鞣しですが、両者を組み合わせた複合鞣しもあります。
鉱物鞣し
鉱物鞣しのひとつに「三価クロム」を使った「クロム鞣し」があります。現在、この方法が皮を鞣す際に最も多く用いられています。
特徴としては、柔軟性があり、伸びが大きく、弾力性をもった革になります。 しかも耐熱性も付与しているため、靴甲革、袋物、服飾用など利用範囲が広い革になるのも大きな特性です。ほかに、鉱物鞣しには、アルミニウム鞣剤、ジルコニウム鞣剤などが使われます。
有機物鞣し
代表的な鞣しに、「植物タンニン鞣し」があります。
現在使われているのは、ワットル(ミモザともいう)、ケブラチョ(ウルシ科の植物)、チェスナット(ブナ科の植物)であり、これらを組み合わせながら鞣しを行っています。
鞣された革は伸縮性が小さく堅牢なので、ケース、鞄、靴底など、立体化する革製品に適しています。有機物鞣しには、植物タンニンのほか、合成タンニン、アルデヒド鞣剤などが使われます。
革の種類
動物の違いによる分類
天然皮革の材料となるものは、「原皮(げんぴ)」または「原料皮(げんりょうひ)」と呼ばれ、牛、羊などの哺乳類、ワニなどの爬虫類、鳥類などの皮が使われています。ここでは、主なものをご紹介しましょう。(イラストをクリック/タップすると説明をご覧いただけます)
革のタイプによる分類
天然皮革をつくる過程で加工をほどこすことで、さまざまな表情や特徴をもった革に仕上がります。
ここでは、タイプの異なる革について、それぞれの特色や用途をお伝えします。(画像をクリック/タップすると説明をご覧いただけます)
仕上げ方による分類
天然皮革をつくる仕上げの方法によって、革の仕上がりは大きく変化します。
素材としての天然皮革の魅力をさらに引き出す仕上げの方法をご紹介します。
素上げ調仕上げ
ほとんど仕上げ剤を使用せず、フェルトバフなどでツヤを出す仕上げ方法です。
アニリン調仕上げ
銀面(表面)のパターンが見透かせるような透明感のある仕上げ方法。少し顔料を配合したセミアニリン仕上げの革も含まれます。
顔料仕上げ
顔料などを使用することにより透明感がやや損なわれますが、銀面(表面)のキズを隠し、均一な着色ができる仕上げ方法です。
グレージング仕上げ
革の銀面(表面)に平滑性と光沢を与えることを目的に、めのう、ガラス、金属のローラーによって強い圧力を加えながら摩擦する仕上げ方法。また、グレージング仕上げの革にしぼ付けを行ったのがボックス仕上げです。
アンティーク仕上げ
不規則なムラ模様などを付けて古代調(ヴィンテージ)の印象を与える色調仕上げ方法。ツートン仕上げやアドバンティック仕上げなどがあります。
エナメル仕上げ
パテント仕上げともいわれ、ウレタン樹脂で仕上げる方法です。
パール・メタリック仕上げ
ラッカーにパールやシルバー、ゴールドなどを混合して、塗装する仕上げ方法です。