理想の女性像を重ねる、田中道子の愛用レザーアイテム。
田中道子(俳優)
映画やドラマで見せるクールな表情だけではなく、バラエティでは愛らしい笑顔と卓越した芸術センスを披露するなど、注目を集めている俳優の田中道子さん。2022年末には超難関とされる国家資格、一級建築士に何と一発合格。努力の先に光を掴んだ彼女は、自身の持ち物にも真っ直ぐな思いを注いでいる。
長財布と一緒に、家族の気持ちも持ち歩く。
型押しが施された真っ赤なカーフレザーの長財布を、10年以上肌身離さず大切にしてきた田中さん。仕事を終えて帰宅すると、財布はいつも決まった戸棚に保管する。いまも艶やかで美しいその佇まいに、そうして注がれてきた愛情がうかがえる。
「成人式の日に、私の兄と姉が半分ずつお金を出し合って買ってくれたプレゼントです。それまでレザーの小物を持ったことがなくて、私にとってこの財布は大人になった証でした。あの時のふたりの気持ちがうれしくて、一生大切にしていこうって思いました」
レザーアイテムは“大人の証”と表現する田中さん。使うほどに生まれていく小さなシワなど、レザーの経年変化に家族との思い出を重ね、いまではお守りのような存在になった。
スマートな佇まいのブーツは、憧れの女性像のよう。
“9頭身美人”と称され、羨望の眼差しを注がれる田中さんにも、憧れの女性像がある。それは「ヒーローみたいにカッコよく、人助けができる女性」。洋画のアクション女優が男性顔負けの活躍をするシーンに焦がれた少女時代の思い出に、社会人になる自分を重ねて思い描いていた時、ひとつのブーツと出合った。
「大人の女性は、足元が美しい。友人とそんな話をしていた時、ヒールの細いレザーのブーツを見つけたんです。クールな佇まいの中に女性らしい可愛さも見てとれて、私の目指す女性像そのものだとひと目惚れ! 友人にも背中を押されて購入しました。このブーツが似合うのは、鎧をかぶるような強さとは違う、内から湧き出すような逞しさを持つ人……」と、田中さんは丁寧に言葉を紡ぎ出す。
普段着は、モードな服をチョイスすることが多いという田中さん。20代に愛用したフラットのワークブーツから、ポインテッドトゥのピンヒールブーツへ。メンテナンスをしながら大切に履いているというエレガントなブーツは、自然体の彼女にしっくりとなじんでいる。昨年末に彼女が獲得した、一級建築士という国家資格。並大抵ではなかったであろう彼女の努力は、女性芸能人初の快挙という形で実を結び、憧れの女性像に彼女自身をぐっと近づけたようにも感じられた。
建築士という、もうひとつの人生。
「実務経験のない私は、落ちこぼれからのスタート。『人一倍頑張らないと』という思いがありました。頭を酷使したから、試験が終わった当時は本当に完全燃焼で何も手につきませんでした。でも合格がわかって、またひとつ何かが始まったような気持ちなんです。よく“子どもに夢を”といわれますが、大人である自分自身もやりたいことに一生懸命でありたいなとあらためて思いました」
多趣味で、そのどれにも全力投球する田中さんは、いつか子どもたちの経験値を増やせるような学校をつくってみたいと教えてくれた。人にはいろいろな可能性があることを、彼女自身が身をもって体験したからだ。
「勉強する時間があるのなら、女優業に邁進すべきなのではという葛藤もあったけれど、勉強したことで得たものもすごく大きかった。好きなことに熱中しすぎてしてしまう点は、長所であり時には短所。でも経験したことは、どの仕事にも生きてくるって信じられるようになりました」
気に入ったひとつのレザーアイテムを、長く長く大切に使い続けるように、田中さんは自分の人生に対してもとても丁寧に向き合い続けている。人生という冒険を楽しむ田中さんにとって、強靭で美しいレザーはパワーアイテムと呼べる頼もしい存在なのかもしれない。
「レザーアイテムは手入れに手間がかかる分、自分の気持ちに応えてくれるもの。大切にしないと、そのよさも返ってこない印象があるんです。いつか、設計の仕事に携わる時がきたら、一生もののレザーチェアをデザインしてみたいですね。想像するだけでワクワクします」
田中道子 Michiko Tanaka
1989年生まれ。静岡県浜松市出身。ミス・ワールド2013 日本代表に選出される。2016年に俳優に転身し、テレビ朝日系ドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」シリーズ(2016年)や「六本木クラス」(22年)など、数々の話題作に出演。準レギュラーのバラエティ番組「プレバト‼︎」では、プロ級の絵画の腕前を披露。22年12月には一級建築士試験にストレート合格し、注目を集める。
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