上白石萌歌が語る、長く付き合うことで生まれる革の魅力。

上白石萌歌(俳優)

第7回「東宝シンデレラ」オーディションでグランプリを受賞し、2012年に俳優デビュー。昨年春からはラジオパーソナリティを務めるなど活動の幅を広げ、adieu名義の音楽活動も話題の上白石萌歌さん。未知数の煌めきを秘めた彼女は来月、女優として出演する映画『KAPPEI』の公開を控えている。先入観を持たず、ジャンルを超えて好奇心旺盛に活動する上白石さんに、“ワクワク”を与えてくれるレザーアイテムについて語ってもらった。

先輩俳優から贈られた、特別なレザーブックカバー。

「役作りのために、衣装は大事な要素」と話す上白石さん。髪型や持ち物の選び方ひとつで、キャラクターを演じるモチベーションが上がるという。新作映画『KAPPEI』では、上白石さんが演じる女子大生ハル役の衣装合わせにたっぷり時間を掛けたそう。「この女性はこの色は着ないと思う、といった意見を積極的に伝えます。この作品は漫画が原作なので、ハルの人物像のヒントは漫画の中にたくさんありました」

ギャグ漫画が原作の本作の撮影で上白石さんを悩ませたのが「笑いを我慢すること」だったとか。「少しでも気を抜くと、すべてがおかしく感じてしまう。笑いをこらえることほど苦しいことない、とこの作品で学びました(笑)。本当に楽しい現場でした」と撮影を振り返り、レザーの台本カバーを見せてくれた。

「これは3年ほど前、テレビドラマ『3年A組-今から皆さんは、人質です-』に出演した時に、主演の菅田将暉さんからいただいたもの。A組の生徒全員にプレゼントしてくださったのですが、“ブッキブッキレコード(菅田さんの役名が柊一颯)”と刻印されていて、遊び心を感じます。どの現場にも持っていき、もちろん『KAPPEI』の台本にもこのカバーをかけていました。長く使っているので徐々に味が出てきて、手になじんでくる感じもグッときますね」

レザーならではの経年変化を楽しんでいる上白石さんにとって、実はこの台本カバーは2代目だという。「初代は、仕事を始めてすぐの12歳の頃、事務所の先輩の長澤まさみさんからいただきました。いまも大切にとってありますが、いつも一緒に長い時間を過ごしたレザーカバーは、時間の流れを感じさせてくれる。いつか私も後輩にそんな素敵な贈り物ができる大人になりたいと思います」

ひと目惚れした、小さなレザーのバッグ。

女優という仕事柄、いろいろな服を着る機会がある上白石さんは、その体験を“冒険をしているよう”と表現する。「私は服が大好きです。服はその人らしさが伝わる、いわば名刺のようなもの。いまのムード、今日の気分、自分がどんな人間なのか……さまざまなものが投影されているのが服だと思う」。選ぶ基準は、好きかどうか、ときめくかどうか。直感を頼りにファッションの冒険を楽しんでいるようだ。

「自分が好きな人、興味がある人がどんな服を好んでいるのかも知りたい。それが自分の琴線に触れるなら、貪欲に追いかけるタイプ」という上白石さん。最近もお気に入りのデザイナーのアトリエを訪ね、服を見せてもらったのだとか。「こんな素敵な服を作る人ってどんな人なんだろう?本人はどんな服を選ぶんだろう?と気になることばかりです」。雑誌に載っているものでも気になったら自分の目で見て、実際に触れてみたいと語る。「ネットショッピングより、店に出向く派です。時間があればショップを回り、好きなものを見て、試着して癒やされています」

そんな上白石さんがショップ巡りを楽しんでいる時に出合ったのがこの小さなレザーのバッグ。「小ぶりなサークルバッグを探していて、昨年たまたま訪れた百貨店で見つけて即購入。レザーならではの色味や質感、そして光沢感に惹かれました。ショルダーストラップが長いところも気に入っています。どんな服にでも合わせやすいので重宝しています」。バッグが好きでいくつも持っていると言う上白石さんだが、ブランドには特にこだわらないとか。「小さめサイズのショルダーバッグが好きで、ひと目惚れして買うことが多いですね」

心がときめくものに囲まれていたい。

「服やバッグが好きすぎて、量が増えてしまったので今年の初めに断捨離しました。それからはひとつ買うと、ひとつ減らす努力をしています」。それでも趣味のショップ巡りをすると新しい出合いは避けられず、それは彼女にとってかけがえのないことでもあるようだ。「母親も洋服が大好きで、子どもの頃から一緒に買い物に出かけて楽しんでいました。そんな時間は私にとって、いまでも心が安らぐひと時。素敵な服を着ると心が緩みます」

近頃、フィルムカメラで写真を撮影することにもはまっているという彼女は、ファッション以外にもアンテナを張り巡らせている。昨年春から、自身がパーソナリティを務めるラジオ番組でさまざまなゲストを迎えてトークを展開。その顔ぶれはミュージシャンから俳優、映画監督、作家、スポーツ選手まで多彩だ。「私が会ってみたい人をお呼びしています。話すことが本当に楽しくて、好奇心を刺激されます。もっと多くの人たちの話を聞いてみたい。そしてこれからも、もっともっとたくさんの服やアクセサリーに出合いたい」。そう語る上白石さんが『KAPPEI』で演じるハルという役の、彼女自身の洞察と愛情が詰まったファッションも見どころのひとつといえそうだ。

「私は自分がときめくもの、ワクワクするものにいつも囲まれていたいんです。自分自身もどんどん変化していくので、そんな気持ちにさせてくれるアイテムも変わっていくし、それでいいと思う」。先入観にとらわれず、ファッションを楽しむのが上白石さん流。そんな彼女が紹介してくれたレザーのブックカバーとバッグは、どちらも彼女の思いがしっかりと詰まったもの。「革にしかない味わいや経年変化が魅力的だと思います」。どんどん進化していく彼女に寄り添うように、きっと味わいを増していく。

上白石萌歌 Moka Kamishiraishi
2000年、鹿児島生まれ。11年に第7回「東宝シンデレラ」オーディショングランプリを受賞。12年にドラマ「分身」で女優デビューし、18年に出演した映画『羊と鋼の森』で第42回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。これまでの出演作は、TBS系ドラマ「義母と娘のブルース」(18年)、日本テレビ系ドラマ「3年A組–今から皆さんは、人質です–」(19年)、映画『子供はわかってあげない』(21年)など。adieuとして音楽活動も行う。21年春からは、J-WAVE「#LOVEFAV」のナビゲーターとしても活躍中。4月からはNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」、日本テレビ系ドラマ「金田一少年の事件簿」に出演予定。
Instagram : @ moka____k

『KAPPEI』
世界が滅亡するという予言を信じ、救世主となるべく人里離れた地で修行に人生を捧げてきた勝平(伊藤英明)。だが、突如「解散」を命じられ、終末の戦士たちは東京の地へと流れ着く。天真爛漫な女子大生・山瀬ハル(上白石萌歌)と出会い、勝平は人生で初めて“恋”を知るが……。
●監督/平野隆
●原作/若杉公徳
●出演/伊藤英明、上白石萌歌、西畑大吾(なにわ男子)、大貫勇輔、古田新太、山本耕史、小澤征悦
●2022年、日本映画、118分
●配給/東宝
2022年3月18日(金)より全国にて公開予定
©2022 映画『KAPPEI』製作委員会
©若杉公徳/白泉社(ヤングアニマルコミックス)

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photography: Yuka Uesawa styling: Ami Michihata hair and makeup: Tomoko Tominaga interview & text: Tomoko Kawakami

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