民藝の考えを映し出した、美しい革の日用品。

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2019年に濱口さん夫妻が立ち上げた革工房、ロー・アンド・ニードルズ(lore+needles)は、鳥取県智頭町の自然豊かな場所にある。イギリスで現代美術を学んだ妻の恵実さんは、日本の民藝の哲学に惹かれ、“簡素で飾らない、使うほどに美しくなる日用品”を革でつくろうと思い立った。革を選んだ理由は、恵実さんが日本で革の染色の仕事に就き、丈夫で経年変化し、使う人それぞれに馴染んでいく革の多様性に惹かれたから。ヌメ革の巾着「火口(ほくち)袋」は、アウトドアで焚き火をする際に麻や小枝、木屑などを入れておくために制作。口を広げると入っているものがよく見え、取り出しやすい。三角筆入は、1枚の革を折り畳むように形作られている。「フィガロジャポン」編集長代理の森田聖美さんは、この三角筆入に“用の美”を感じた。「柔らかな手触りと三角のカタチに惹かれました。持った時に掌になじみ、10本から12本の、鉛筆や蛍光ペンやボールペンが入る収納力もお気に入り。開くと、フラップになっている部分にペンたちが並ぶように乗るので、仕事中でもお目当てのペンが見つかりやすく便利です。眼鏡ケースとして使っても、立体的なフォルムが繊細なアイウェアを優しく守ってくれます」。素材は、耐水性や防虫効果がある柿渋染めとヌメ革の2種類。「ヌメ革の質感が心地いい。バッグに入れて持ち運べば、革の魅力である味わいのある経年変化を楽しむことができます。革というサステイナブル素材を、この先も長く使っていきたいです」

ロー・アンド・ニードルズ lore+needles
2019年に、鳥取県・智頭町で設立した革工房。智頭町に移住したのは、この地の広大な敷地に立つ古民家で、石臼など昔ながらの道具を使って料理を提供する「山里料理 みたき園」の姿勢に、理想の世界を見たことがきっかけという。植物タンニンで鞣した革を使い、ひとつひとつ手仕事、手縫いで制作。「包tsutsumu」シリーズの「火口袋」と「三角筆入」は、丁寧にものを包み気持ちを込める、風呂敷の文化から発想。
https://loreandneedles.com
Instagram:@loreandneedles
森田聖美 Kiyomi Moritaさん
「フィガロジャポン」編集長代理
1967年12月24日、東京都生まれ。「フィガロジャポン」の編集に携わり約25年。カルチャー、旅、美容、ライフスタイルなどのテーマを主に手がける。madameFIGARO.jpにて「編集KIMのシネマに片想い」というブログを持つ。自然環境と人間の営みのバランスについて考える日々。

photography: Kae Homma, styling: Natsumi Ogasawara, Text: Maki Shibata

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