自分にしか出せない経年変化を楽しむ、森田哲矢のレザーの財布。
森田哲矢(お笑い芸人)
2008年に相方、東ブクロさんとお笑いコンビ「さらば青春の光」を結成し、11年に「第32回ABCお笑い新人グランプリ」の優秀新人賞を受賞。その後も数々の賞を受賞し、テレビやラジオでも大活躍の森田さん。飛躍のきっかけになったと語る、現在も愛用中のレザーの長財布について話を聞いた。
飛躍の願いを込めて買った、レザーの財布。
「6〜7年前の年末、大阪に戻った時に地元の連れと遊んでて、立ち寄った阪急のメンズ館の革小物の店で見つけました。年末に、“新年からはええ財布と使わないといけない”みたいなのを多分、テレビで観たんですよね。で、そろそろ僕もいい財布を使おうと思って、確か4万円くらいで買いました。その頃の僕にとっては値が張る買い物だったけど、ええ財布を使って、今年は飛躍したいという願掛けもあって。長く同じ財布を使っていたら、運気を逃してお金が貯まらないなんて話もありますが、僕は、そんなジンクスは気にしないです。それよりも財布自体のかっこよさ重視なんで。それでずっと使っています」
自分で手を加えた、世界でひとつだけのもの。
「こんな財布が欲しいな、というイメージはずっと頭に中にあったんです。その前は黒いレザーの財布を使っていたので、次は経年変化がもっと楽しめる茶色の財布がいいかなと思っていました。僕は長財布に憧れがある世代なので、長財布でかっこいいレザーのものが欲しいと考えていた時に、これを見つけたんです。買った時は、ひと回り小さいコンチョ(装飾ボタン)が付いていて、もう少し大きい方が好みだったので、東急ハンズで大きいコンチョを買って自分で付け直しました」。納得するかっこいい財布に仕上げるために自分で手を加える。まさにこだわりが強い森田さんならでは。
するべき手入れをしないままに使っているので、傷などもあるけれど、それは僕の生活そのものだから、と森田さん。味を楽しみ、丈夫さを満喫する。これぞレザーの醍醐味だという。
「買ったばかりの頃は、汚さないようにしていましたけど、いまでは何も気にならないです。女性の前では、あまりにも年季の入った財布なので、あまり見えないようにそっと出すくらいですね(笑)。いつもデニムの後ろポケットに入れているので、フォルムも僕仕様に変わっています。でもすべては味だと。この財布には、僕のズボラな性格が投影されていますね」
古着とレザーの財布は相性がいい。
いまではすっかり売れっ子コンビのさらば青春の光は、テレビに出る機会も多い。
「仕事での衣装はスタイリストさん任せです。いろいろな服を着る機会をもらっていますね。でも私服は変わらず、いつもアメカジ。仕事で地方に行った時に空き時間があったら、必ず地元の古着屋を覗いています。『大阪古着日和』の撮影ではたくさんの古着屋さんにお邪魔して、たくさん買い物をしてしまいました。すでに映画出演のギャラ以上の金額を買い物に注ぎ込んでしまっているかも知れない(笑)。ここで買わなかったら、次は出合えない、と思うとついつい買ってしまうんですよ。すっかりそんなマインドになってしまっています」
ファッションに関して、哲学があるわけではない、ただ自分の好きなものを着たいだけ、と話す森田さんの古着歴はかなり長い。古着もレザーも使う人の個性と思い出を刻み、時間が経つほど味わいや魅力が増していく、親和性の高いアイテムといえるかもしれない。
「実はレザーの服は自分に似合わない気がして、革ジャンや革パンは持っていないんですよ。すごくかっこいいと思うんですけどね。でも財布くらいやったら、レザーでもええんちゃうかと。まだまだ機能的にも何の問題もないので使い続けるつもりですが、これが壊れてもまた同じようなものを買うんちゃいますかね、僕」
森田哲矢 Tetsuya Morita
1981年生まれ。大阪府出身。2008年に相方、東ブクロとお笑いコンビ「さらば青春の光」を結成。2011年に「第32回ABCお笑い新人グランプリ」の優秀新人賞を受賞。12年の「キングオブコント」では準優勝に輝き、その後賞レースの常連になる。13年に個人事務所「ザ・森東」を設立。17年には生まれたての猫(マンチカンの雄、現在3歳)が「ザ・森東」の会長に就任。21年には新人の子猫を専務職に大抜擢し、話題を集める。22年秋、主演映画『大阪古着日和』が公開予定。
https://www.sarabaseisyunnohikari.com/
Instagram:@saraba_morita
『大阪古着日和』
●監督/谷山武士
●出演/森田哲矢(さらば青春の光)、光石研、花梨、東ブクロ(さらば青春の光)ほか
●2022年、日本映画
今秋公開予定
©大阪古着日和製作委員会
photography: Masato Moriyama (TRIVAL) interview & text: Tomoko Kawakami